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東京地方裁判所 平成6年(ワ)22885号 判決

原告

株式会社ケーアンドテイー

右代表者代表取締役

大野博邦

原告

株式会社エルディインターナショナル

右代表者代表取締役

相澤利幸

原告

株式会社レマーク

右代表者代表取締役

濱野道子

右三名訴訟代理人弁護士

軍司育雄

滝田裕

被告

セントラル・トレーダースこと

安武俊治

右訴訟代理人弁護士

中島純一

主文

原告らの請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は原告らの負担とする。

事実及び理由

第一  請求の趣旨

一  被告は、原告らに対し、それぞれ金二六八万八〇〇〇円及びこれに対する平成六年一二月八日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告は、日本装粧品新聞に、別紙謝罪広告目録記載の広告を掲載せよ。

第二  事案の概要

一  本件は、被告が製造販売する別紙各被告商品目録記載の被告商品は、原告らが販売している別紙各原告商品目録記載の原告商品を模倣したものであるから、右商品の販売行為は不正競争防止法二条一項三号に該当する不正競争行為であるとして、原告らが、被告に対し、同法四条に基づき右行為により被った損害の賠償を、同法七条に基づき信用回復措置として謝罪広告の掲載を求めた事案である。

二  基礎となる事実

1  原告ら

原告株式会社ケーアンドテイー(以下「原告ケーアンドテイー」という。)は、商品名を「リメイン」とする別紙原告商品目録一記載の商品(以下「原告商品一」という。)及び商品名を「ウイスピア」とする別紙原告商品目録二記載の商品(以下「原告商品二」といい、また原告商品一と原告商品二を合わせて単に「原告商品」という。)を製造し、原告株式会社エルディインターナショナル及び原告株式会社レマークは、原告ケーアンドテイーの販売代理店として、右原告商品を小売店ないし卸問屋に販売している(争いがない)。

原告ケーアンドテイーの原告商品の製造販売開始時期は平成五年五月であり、その余の原告らの原告商品の販売開始時期は平成六年五月である(弁論の全趣旨)。

2  原告商品

(一) 原告商品一

原告商品一は、ピアス利用者がピアスをはずした場合に耳朶にあけられたピアス孔の収縮を防止することを主たる機能及び効用とする医療用樹脂製のピアス孔用保護具であり、その形態及び構成は、別紙原告商品目録一記載のとおりである(争いがない)。

(二) 原告商品二

原告商品二は、ピアス装着時の金属アレルギーの防止を主たる機能及び効用とする医療用樹脂製のピアス装着保護具であり、その形態及び構成は、別紙原告商品目録二記載のとおりである(争いがない)。

3  被告

被告は、商品名を「ピアスティック」とする別紙被告商品目録一の1及び2記載の商品(以下両者を合わせて「被告商品一」といい、そのうち別紙被告商品目録一の1の頭部が円盤状のものを「被告商品一(円盤型)」、別紙被告商品目録一の2の頭部が球状のものを「被告商品一(球型)」という。)及び商品名を「ピアガード」とする別紙被告商品目録二記載の商品(以下「被告商品二」という。)を、製造、販売している(争いがない)。

被告商品一の製造販売開始時期は平成六年五月二一日であり、被告商品二の製造販売開始時期は平成六年六月九日である(弁論の全趣旨)。

4  被告商品

(一) 被告商品一

被告商品一は、ピアス利用者がピアスをはずした場合に耳朶にあけられたピアス孔の収縮の防止を主たる機能及び効用とする医療用樹脂製のピアス孔用保護具であり、その形態及び構成は、別紙被告商品目録一の1及び2記載のとおりである(争いがない)。

(二) 被告商品二

被告商品二は、ピアス装着時の金属アレルギーの防止を主たる機能及び効用とする医療用樹脂製のピアス装着用保護具であり、その形態及び構成は、別紙被告商品目録二記載のとおりである(争いがない)。

5  原告ケーアンドテイーと被告との取引関係

被告は、平成五年八月ころ、原告ケーアンドテイーと、原告商品の供給契約を締結し、同社から原告商品のパンフレット、説明資料その他の販売促進資料の交付を受け、平成五年九月から平成六年六月ころまで、原告商品の販売を行っていた(争いがない)。

三  争点

1  原告商品の形態は、不正競争防止法二条一項三号括弧書きに規定された「同種の商品が通常有する形態」であるか。

(被告の主張)

(一) 原告が原告商品を製造、販売する以前に、原告商品と同種の商品であって同じ形態を有する商品が、米国の特許公報(原告商品一については米国特許第四三五三三七〇号の特許公報(乙三)及び米国特許第四五九三五四〇号の特許公報(乙九)に、原告商品二については米国特許第四〇六七三四一号の特許公報(乙一))にそれぞれ開示されていた。

そして訴外株式会社キクシマは、平成元年四月ころから、米国の訴外イヤーズ社が前記米国特許第四五九三五四〇号の発明の実施品として製造販売する「ポスト・チェンジャー」(検乙二)及び前記米国特許第四〇六七三四一号の発明の実施品として製造販売する「ピヤスト・イヤー・プロテクターズ」(検乙一)を、訴外東京ブレスレット株式会社を通じて輸入し、日本国内において販売していた。

(二) 原告商品一と「ポスト・チェンジャー」はピアス装着孔の収縮予防を共通の機能及び効用とし、原告商品二と「ピヤスト・イヤー・プロテクターズ」は耳朶に穿設したピアス装着孔及びその周辺身体部位の金属アレルギーの防止を共通の機能及び効用とする商品であるが、各両商品は、①合成樹脂製であること、②原告商品一及び「ポスト・チェンジャー」にあっては中密の軸部を有し、原告商品二及び「ピヤスト・イヤー・プロテクターズ」にあっては中空の軸部を有すること、③フランジを形成する頭部を有すること、④遊脱防止のために留め具(キャッチ)を備えることを共通の構成としている。

このように構成が共通するのは、所定の機能及び効用を奏するため、その形態が必然的に決定されるからであり、原告商品の形態は、いずれも機能及び効用を奏するうえで不可避的な形態からなるものであるといえる。

(三) また原告商品は、いずれもその実質はピアスに過ぎず、ピアスとの相違はその材質に過ぎない。材質は技術の問題であって不正競争防止法二条一項三号にいう「形態」の問題ではないから、この点においても、原告商品は同種商品が通常有する形態を有しているに過ぎないというべきである。

特に原告商品一の機能及び効用を実現することは、通常の形態を有するピアス、すなわち頭部、針部及び留め具より構成されるピアスであれば、その材質を換えるのみですべて可能となるのであって、原告商品一は、実質は一般的なピアスに過ぎない。

また原告商品二も、原告商品一の軸部に相当する部分を、中空のポストカバー装着部としているだけである。

(四) 以上の事実によれば、原告商品の形態は、その機能及び効用を奏するために不可避的に採用しなければならない形態あるいは同種商品のありふれた形態であって、いずれにしても同種の商品が通常有する形態に過ぎないから、不正競争防止法二条一項三号本文は適用されない。

(五) なお原告商品が、技術的にも新規な商品でないことは前記(一)の事実から明らかであり、原告がその開発にいかに努力しようと、それは公知の技術の調査を怠ったためであり、そのことが原告商品を保護すべき理由とはならない。

また商品の形態が「同種の商品が通常有する形態」であるかどうかの判断は、その商品が商業的に成功したか否かとは本来無関係であるから、商業的成功をもって原告商品が「同種の商品が通常有する形態」ではないことの根拠であるかにいう原告主張は失当である。

(原告らの主張)

(一) 「同種の商品が通常有する形態」とは、同種の商品と比較してその商品に何の個性も与えないような形態(没個性的形態)や、その種類の商品に共通してその特有の機能及び効用を発揮するために一義的に決まってくる形態(技術的形態)をいう。

不正競争防止法二条一項三号括弧書きの除外規定の趣旨は、当該商品の企図した機能及び効用を発揮するためには誰が作っても同一のものとならざるを得ない場合を除外し、反面当該商品にのみ認められる特徴的な形態を保護することにある。

(二) 原告商品一はピアス孔用保護具であり、その主たる機能及び効用はピアス孔の収縮の防止である。ピアス孔用保護具として、ピアス孔の収縮の防止の機能及び効用を果たすため、ピアス孔を塞ぐ形をとらざるを得ないとしても、必ずしもピアス孔に通す本体と留め具(キャッチ)から構成し、本体の軸部が長錐体でなければならない必然性はない。

たとえば、全体をわっか状としてその一部をピアス孔に通すことによって収縮を防止する形態も商品として当然に考えられるはずであって、必ず原告商品一の形態を採らなければその機能及び効用を発揮できなくなるという必然性は全くない。

原告商品二はピアス装着用保護具であり、その主たる機能及び効用はピアス装着時の金属アレルギーの防止である。ピアス装着用保護具として、金属アレルギー防止のため、ピアスの金属部分と耳朶の接触する部分において、ピアスを覆い隠す形態をとらざるを得ないとしても、たとえば、本体のポストカバーを短くし、ピアス自体の金属製の軸(ポスト)部分がポストカバーの中途から出すようにして、留め具(キャッチ)を必要としない商品形態も考えられるから、必ず原告商品二と実質的に同一の形態を採らなければ、その機能及び効用を発揮できなくなるという必然性は全くない。

右の事実は、原告商品の形態が、いずれも同種の商品が通常有する形態ではないことを示している。

また原告商品は、ピアスそのものではないし、ピアスにもさまざまな形態の商品が存するから、ピアスが通常有する形態をもって原告商品について「同種の商品が通常有する形態」を論じることはできない。

(三) なお原告商品の開発経過は次のとおりである。

すなわち、平成四年ころから、ピアス着用による金属アレルギーのため病院を訪れる患者が急増し、その問題が新聞等でも取り上げられるようになっていた。

右事態を憂慮した埼玉医科大学形成外科井上健夫助教授は、ピアス孔を開ける際にファーストピアスとして使用される金属ピアスの代わりにテフロン製の樹脂チューブを使うアイレット・ピアッサーを医療用に考案、開発し、これを平成四年度の日本美容外科学会総会で、翌年にはアメリカの医学専門雑誌「ANNALS OF PLASTIC SURGERY」上で発表した。

原告商品は、右のアイレット・ピアッサーの考え方を一歩進め、ピアス着用時における金属アレルギー感染の防止器具(原告商品二)として、またはピアスを外した際のピアス孔収縮の防止器具(原告商品一)として、右井上助教授の発案のもと、原告ケーアンドテイーが開発費用を負担してプロデュースし、一年余りの試行錯誤の末、訴外株式会社加藤スプリングが開発したものである。

このように原告商品は、金属アレルギー感染症防止の観点から全く新しく開発されたものであり、原告らが本件商品を開発するまで国内市場において原告商品と類似する商品は存在していなかった。

この点からも原告商品が同種商品が通常有する形態でないことは明らかである。

(四) 被告は、訴外イヤーズ社の商品である「ポスト・チェンジャー」、「ピヤスト・イヤー・プロテクターズ」が、原告商品販売前に日本国内で販売されており、原告商品は、イヤーズ社の商品と実質的に同一で新規性がなく、目的、効果、構成の観点からすれば原告商品の形態は必然的に決定される等主張するが、右イヤーズ社の商品が日本国内で販売されていた事実はないし、そもそも新規性の問題と同種商品が通常有する形態とは別問題である。新規性がないから、同種商品が通常有する形態であるとの主張は論理が飛躍している。

また、原告商品一に対応するという「ポスト・チェンジャー」は、通常のピアスの針部を交換するための商品で、原告商品一とは構成も形態も全く異なり、原告商品一の同種商品とはいえない。

原告商品二に対応するという「ピヤスト・イヤー・プロテクターズ」にかかる発明の特許公報(乙一)には、ピアスによる金属アレルギー防止用装着具に関する発明が開示されているが、原告商品二とは全く異なる形態の実施例も記載されている。金属アレルギー防止用装着具の形態が、必ず原告商品二の形態を不可避的に採用しなければならないという主張に理由がないことは明らかである。

さらにいえば、原告商品の頭部の円盤状の大きさ、形、留め具の大きさ、形が一定の形態でなければならない理由はもとよりなく、原告商品が同種商品が通常有する形態でないことは明らかである。

(五) 原告商品は、発売当初より、従来なかった画期的商品として、装粧品業界において非常に好評を博し、平成六年一〇月までに、約一七万五〇〇〇個の販売実績を挙げるほか、女性週刊誌や業界誌、その他のマスメディアにおいて繰り返し取り上げられる等して、特に女子高校生を中心にした人気商品になっている。

このような商業的成功も、原告商品が、通常のありふれた形態の商品ではなかったことを示している。

2  被告商品は、原告商品を模倣した商品であるか。

(原告らの主張)

(一) 模倣であるか否かの商品形態の類似性の判断は、商品の有する形状、構造、色彩等の外観から一般人が肉眼で見た場合に混同するか否かの観点からされなければならない。

原告商品は、新規な商品であって、新規な商品を開発した原告らの努力を考慮すれば、その形態の保護範囲は広く認められるべきであって、原告商品と被告商品の形態の細かな差をもって模倣といえるほど形態が類似していないということは相当ではない。

(二) これによって原告商品一と被告商品一を対比してみると、両商品はいずれもピアスをはずした際のピアス孔の収縮を予防するためのピアス孔用保護具である。

基本的構成は、本体と留め具(キャッチ)からなり、医療用樹脂を用い、色彩も半透明で、いずれも実質的に同一である。

ただし、原告商品は、本体と留め具のいずれにも弾力性を持たせ、質感として柔らかく、使いやすくまた機能性に配慮しているのに対し、被告商品にはその特性はなく、原告の工夫をなきものにしている。

原告商品一と被告商品一(円盤型)は、いずれも本体がくぎ型の形状で、本体軸部は、頭部から先端部にかけて太さの狭まる長錐体で、その先端部は鈍端で、さらに留め具(キャッチ)は、いずれも中心部に本体を挿入するための孔が貫通した樽型で、孔は本体の挿入口の方が裏側よりやや大きくなっている。

したがって、この両商品を対比して観察した場合、その実質的同一性は明らかで、一般人が誤認混同を生じるのは必定である。

被告商品一(球型)は、本体の頭部が球体であり、唯一、その部分においてのみ形状が相違しているが、これとても、直接的模倣の回避のために、頭部を円盤ではなく球体にしただけに過ぎず、特に本件における商品のサイズが極めて小さいことや、その色が半透明であえて目立たぬように作られていることからすれば、かかる相違はほとんど注目するに値せず、原告商品一の形態と、なお実質的に同一と評価できるものである。

(三) また原告商品二と被告商品二を対比してみると、両商品は、いずれもピアスの装着による金属アレルギーを予防するためにピアスの金属軸(ポスト)をカバーするピアス装着用保護具である。

基本的構成は、ポストカバーと留め具(キャッチ)からなり、医療用樹脂を用い、色彩も半透明で、いずれも実質的に同一である(ただし、原告商品の方が弾力性、質感の点で優れている)。

両商品は、いずれもポストカバーが円盤状の頭部をもつくぎ型の形状で、ピアスの金属軸を挿入するために筒状である。

確かに細部をみれば、ポストカバー軸において、被告商品二が頭部から先端部にかけて太さの細くなる長錐体である点と、留め具(キャッチ)において、原告商品二が樽型であるのに対し、被告商品二においては臼型である二点において相違が見られる。

しかしながら、商品のサイズが極めて小さく、その色が半透明であえて目立たぬように作られている形状からして、その相違は注意をひかず、一般人が誤認混同するのは必定である。

(四) 被告が、被告商品を原告商品を模倣する意図のもと製造したことは、被告が平成五年九月から平成六年六月ころまで原告ケーアンドテイーと原告商品の取引をしていたことから明らかである。

原告商品と被告商品の双方の販売促進用パンフレット(甲一、甲三)をみれば、被告が原告商品を意識してパンフレットを作成したことは明らかであって、この点にも被告の模倣意図が窺える。

(被告の主張)

(一) 被告商品が、原告商品の模倣商品、いわゆるデッドコピーに該当しないことは、その形態を対比することにより明らかである。

特に両商品の留め具(キャッチ)の形状の差は顕著であり、そのほか細部の差についても看過しえない差が多々見いだせる。微少物品であると共に、単純な形状の物品であるため、これらの意匠上の相違点の有する意味は大きい。

原告商品は新規なものではないから、その形態の保護範囲を広く解することはできないのであり、右のように細部に顕著な差がある以上、被告商品をもって原告商品を模倣したものとの主張は当たらない。

(二) なお原告は、商品の材質が医療用樹脂であることも、形態の特徴に挙げているが、材質は技術の範疇に属するものであって、不正競争防止法二条一項三号の「形態」の類似性を問題にするとき考慮すべきではない。

(三) 原告商品、被告商品にかかる技術は、日本国内で特許権が成立していない以上、誰が実施しても支障のないものである。

被告商品は、この観点から、さらに進んで一般消費者が原告商品と被告商品とを混同しないように、慎重な配慮のうえ、被告により独自に開発された商品である。

被告が、原告商品を販売品目として取り扱いたい旨の申し入れをしたうえで、これを販売し、販売促進資料一式を原告より事前に入手したのはそのためである。

被告には、原告商品を模倣する意図はない。

3  損害

(原告らの主張)

被告らは、被告商品一及び被告商品二が、それぞれ原告商品一及び原告商品二の形態したものであることを知りながら、同商品を平成六年一〇月までの間に少なくとも三万三六〇〇個製造、販売し、少なくとも一個あたり二四〇円、合計八〇六万四〇〇〇円の利益を受けた。

原告らは、原告ケーアンドテイーが製造し、その余の原告らが卸販売等をする関係にあるから、各原告らが被告の行為によって受けた損害の額は、被告がうけた利益の各三分の一の額であると推定される。

(被告の主張)

右事実は否認し、主張は争う。

第三  当裁判所の判断

一  争点1について

1(一) 不正競争防止法二条一項三号は、他人の商品形態を模倣した商品の譲渡行為等を他人の商品が最初に販売された日から三年間に限って不正競争行為とする一方で、その括弧書きにおいて、当該他人の商品と同種の商品(同種の商品がない場合にあっては、当該他人の商品とその機能及び効用が同一又は類似の商品)が通常有する形態は、同号による保護から除外される旨を規定している。(なお、以下においては、同種の商品、機能及び効用が同一の商品並びに機能及び効用が類似の商品を合わせて「同種の商品」という。)。

このように創作性を要件とせずに商品形態に三年間の保護を与える法の趣旨は、何ら開発に、自ら商品を開発する場合のような多大の時間、費用をかけることなく他人の商品形態を模倣し、しかも投資に伴うリスクを回避してその商品について先行投資した他人と市場において競争しようとすることは、競争のあり方として不当であるから、そのような行為を不正競争行為として禁ずることによって先行投資者の利益を一定期間保護することにあると解される。他方、同種商品が通常有する形態を保護の対象から除外したのは、同種商品であれば通常有するようなありふれた商品形態は、特定の者に専用させるべきものではないし、また、同種商品が通常有する形態は、その商品の機能及び効用を奏するために採用される形態、すなわちその商品としての機能及び効用を果たすために不可避的に採用しなければならない商品形態である場合が通常であろうから、この種の形態を特定の者に独占させることは、商品の形態でなく、同一の機能及び効用を奏するその種商品そのものの独占を招来することになり、複数の商品が市場で競合することを前提としてその競争のあり方を規制する不正競争防止法の趣旨そのものにも反することになるからであると解される。

そして、本号括弧書きの右の趣旨に照らせば、たとえ当該他人の商品が、きわめて斬新で、機能及び効用が同一の商品も類似の商品も見いだせない場合においても、当該商品の形態がその機能及び効用を奏するためには不可避的に採用しなければならない形態である場合には、その形態は同種商品が通常有する形態に該当するものと解するのが相当である。

したがって、当該商品が、新規な商品であるからといって、その形態が直ちに同種の商品が通常有する形態ではないということにはならない。

(二) また、不正競争防止法二条一項三号括弧書きの規定は、当該他人の商品全体の形態が同所に規定された要件を具備する場合にその商品の形態を模倣する行為を不正競争行為から除外する趣旨である。しかし、商品の形態は、その商品の機能、効用を奏するために必要不可欠な形態のみからなる場合、あるいは同種の商品が通常有する形態そのものの場合もあるが、他方、機能、効用を奏するために必要不可欠な形態あるいは同種商品が通常有する商品の形態を基礎として、一部を変更し、あるいは装飾的要素を附加した形態のものも少なくないことは当裁判所に顕著である。このように、当該商品の基本的形態が同種商品が通常有する形態であり、細部にわたる具体的形態においてそうでないような場合においては、当該商品全体の形態としては、同法二条一項三号括弧書きの要件を具備するとはいえないから、同法二条一項三号の適用があることは当然であるが、当該他人の商品の形態の模倣に当たるかの判断に際しては、対比の対象となる模倣したとされる商品が同種商品が通常有する形態である基本的形態を共通にすることに重きを置くべきではなく、両商品の同種商品が通常有する形態ではない具体的形態が同一か又は酷似するか否かを判断すべきものである。

以下、このような見地も含めて争点1について検討する。

2(一)  原告商品一の形態は別紙原告商品目録一のとおりであるが、これをより具体的に表現すると次のとおりである(検甲一)。

(1) 基本的形態は、一端により大径の頭部を有する細い軸部からなる本体と、使用時において、右軸部と嵌合する留め具(キャッチ)とからなる。

(2) 本体は、円盤状の頭部と軸部からなるくぎ型の形状を有し、軸部は頭部側から先端にかけて細くなる長錐体で、その先端部は丸い鈍端である。円盤状の頭部は、その円周縁部が軸側にやや丸みが付けられている。軸の長さは約一五ミリメートルである。

(3) 留め具(キャッチ)は、別紙原告商品目録一の図面を基準として、正面視した場合、略円筒部分の左側に円筒よりやや径の小さい略皿状部分、右端に円筒よりやや径が小さく右皿状部分と同径の略伏椀状の部分とが一体となって構成された直径3.5ミリメートル、長さ約四ミリメートルの樽型の形状を有しており、略円筒部分には正面視した場合の中央からやや左側に寄った位置の外周に細い環状の突出部が設けられ、略伏椀状の部分には、同様の細い環状の突出部が二本設けられている。

留め具の中心軸の位置には、本体の軸部を挿入嵌合する孔が貫通しており、孔は本体の挿入口の方が裏側よりやや大きくなっている。前記略皿状部分には、直径方向に、前記孔よりもやや幅が広く断面が半円状の溝が刻まれている。

(4) 色彩は、無色半透明である。

(二)  原告商品一が、ピアス利用者がピアスをはずした場合に耳朶にあけられたピアス孔の収縮を防止することを主たる機能及び効用とする医療用樹脂製のピアス孔用保護具であることは前記のとおりであり、かつ、原告商品一は発明の名称を「ピアス孔用保護具」とする特開平六一一七八七〇五号に記載された井上健夫及び株式会社加藤スプリング製作所が共同で特許出願中の発明(以下「出願中の発明」といい、その公開特許公報を以下「本件公開公報」という。)の実施品である(甲一、甲二、甲七、乙四及び弁論の全趣旨)。

(三)  右出願中の発明の特許請求の範囲の請求項1は、「樹脂材料からなり、耳たぶ等装着部位に形成されたピアス用の小孔に挿入可能な棒状部と、該棒状部の一端に設けられた該棒状部の太さよりも大きな最大幅を持つフランジ部とを有することを特徴とするピアス孔用保護具。」であり、本件公開公報には、出願中の発明の作用についての説明として「耳たぶ等の装着部位に形成したピアス用の小孔に、棒状部の他端、すなわちフランジ部の設けられていない端部を挿入する。この後、装着部位を貫通した棒状部の他端を留め具によって固定すれば、該装着部位から抜け落ちないようにすることができる。」(本件公開公報二欄九行から一三行)との記載があり、出願中の発明にかかる物の形態は、原告商品一の基本的形態の特徴そのものである。

また、原告商品一は、ピアス孔の収縮予防という機能及び効用を、ピアス孔に貫通させられる原告商品一の軸部によって奏し、本体の頭部及び留め具は、原告商品一自体を装着時に人体から脱落しないように挾持するとともに、人体に着脱可能とする機能、効用を奏するものと認められる(乙四、検甲一)。

これらの観点からみると、原告商品一の前記形態の特徴中、その基本的形態である、一端により大径の頭部を有する細い軸部からなる本体と、使用時において右軸部と嵌合する留め具(キャッチ)からなるという構成は、ピアス孔の収縮予防という機能及び効用を奏し、装着時に人体から脱落しないようにしつつ、着脱を可能とするために不可避的に採用しなければならない形態そのものであるということができる。

(三)  原告商品一の基本形態が、機能及び効用から不可避的に採用せざるを得ない形態であるとしても、その留め具部分については、その中心軸の位置に本体の軸部を挿入するための孔が設けられ、目立たない大きさ、形態であると共にピアス孔を通り抜けてしまわない程度の大きさである必要があるという形態の制限が考えられるほかは、その形態の選択の余地は狭くないから、原告商品一の留め具の形態が、原告商品一の機能及び効用から一義的に決定される形態でないことも明らかである。そして、原告商品一の留め具の形態そのものは複雑な特徴ある形態を有するから、ありふれた陳腐な形態であるということもできない。

これに対し、本体の頭部については、ピアスを装着することが許されない状況でピアスを外した際に装着するという目的から、目立たない大きさ、形態であると共にピアス孔を通り抜けてしまわない程度の大きさである必要があるという形態の制限が考えられ、その形態の選択の余地はないとはいえないが、原告商品一の本体頭部の円盤状の形態は、右のような機能、効用を奏するという制限の中で通常想起される基本的な形態であり、その意味で同種商品が通常有する形態と認められる。

(四)  したがって、原告商品一は、その基本的形態及び本体頭部の具体的形態は、同種商品が通常有する形態であるということができるが、具体的形態、特に留め具の形態が同種商品が通常有する形態であるとはいえないから、原告商品一の全体の形態も同種商品が通常有する形態とは認められず、不正競争防止法二条一項三号本文が適用されるものである。原告商品一が単純に同種商品が通常有する形態であるという被告主張には理由がない。

もっとも、原告商品一の基本的形態及び本体頭部の具体的形態が同種商品が通常有する形態に過ぎないという点は、争点2についての判断においては勘酌されるべきことである。

3(一)  原告商品二の形態は別紙原告商品目録二のとおりであるが、これをより具体的に表現すると次のとおりである(検甲二)。

(1) 基本的形態は、一端により大径の頭部を有する中空でピアス本体の針部が挿入される該針部より短い略円筒状のポストカバーと、使用時において右ポストカバー及びその先端開口部から突出するピアス本体の針部に嵌合する留め具(キャッチ)とからなる。

(2) ポストカバーは、円盤状の頭部と軸部からなるくぎ型の形状で、円盤状頭部の中心には軸部の孔が開口し、軸部は中空の筒状であり、その先端部分は、先端にかけてやや絞りがかけられている。軸の長さは約5.5ミリメートルである。

(3) 留め具(キャッチ)は、別紙原告商品目録二の図面を基準として、正面視した場合、略円筒部分の左端に円筒よりやや径の小さい略皿状部分、右端に円筒よりやや径が小さく右皿状部分と同径の略伏椀状の部分とが一体となって構成された直径約3.5ミリメートル、長さ約四ミリメートルの樽型の形状を有しており、略円筒部には正面視した場合の中央からやや左側に寄った位置の外周に細い環状の突出部が設けられ、略伏椀状の部分には、同様の細い環状の突出部が二本設けられている。

留め具の中心軸の位置には、ポストカバーの軸部及びピアス本体の針部を挿入嵌合する孔が貫通しており、孔はポストカバー挿入口の方が裏側よりやや大きい前記略皿状部分には、直径方向に、前記孔よりもやや幅が広く断面が半円状の溝が刻まれている。

(4) 色彩は、無色半透明である。

(二)  原告商品二は、ピアス装着時の金属アレルギーの防止という機能及び効用を、医療用樹脂製のポストカバーの中空の軸部にピアス本体の針部をポストカバーの円盤状頭部側から挿入した状態で、耳朶の小孔に装着することにより、医療用樹脂製の円盤状頭部と軸部とがピアス本体と耳朶との間に介在し、ピアス本体と耳朶とを直接接触させず、また、ピアスの金属製の留め具でなく、医療用樹脂製の原告商品二の留め具(キャッチ)によってピアス本体とポストカバーを保持することにより、金属製のキャッチと耳朶とが直接接触させないことによって奏するものであり、結局、人体に金属アレルギーを起こさせない材料である医療用樹脂によりピアス装着時にピアスの針部、頭部、留め具と装着者の身体との接触を遮蔽することによってもたらされるのであるから、その基本的形態はピアスの形態に規定されている。

すなわち、針部が直線状のピアスについて使用する場合、円筒状のポストカバーの軸部はピアス本体の針部を挿入し得る構成であることが必要であり、右軸部の一端に一体となったより径の大きい頭部はピアス本体の頭部と皮膚との接触を遮蔽すると共に留め具と共に装着時に人体から脱落しないよう挾持するために必要であり、また留め具はピアスのキャッチ部に代わってピアス本体及びポストカバーの軸部を保持し、金属製の留め具と皮膚との接触を避けると共に、原告商品二自体を人体に着脱可能とするために必要であり、結局、原告商品二の基本的形態の構成は、当該商品の機能及び効用を奏するために不可避な形態であるということができる。針部が直線状のピアスがピアスとしては通常の形態であり、原告商品二の形態が、通常のピアスの形態を前提とするものであることは、原告商品二に添付されている商品説明書に、「ウィスピアはストレートタイプ・ピアスのポスト径0.6mm〜0.8mmに適するように作られておりますので市販されているピアスのほとんどに使用することができます」と記載されている(検甲二)ことからも裏付けられる。

(三)  原告商品二の基本的形態が、機能及び効用から不可避的に採用せざるを得ない形態であるとしても、その留め具の形態が、原告商品二の機能及び効用から決定される形態でなく、複雑な特徴ある形態であって、ありふれた形態でないことは、原告商品一について2(三)で判断したところと同じである。

これに対し、ポストカバーの頭部については、ピアス本体の頭部に接して装着されるという用途から、目立たず、かつ、かさばらない大きさであると共にピアス孔を通り抜けてしまわない程度の大きさである必要があるという形態の制限が考えられ、その形態の選択の余地は狭いうえ、原告商品二のポストカバー頭部の円盤状の形態は、右のような機能、効用を奏するという制限の中で、通常想起される基本的な形態であり、その意味で同種商品が通常有する形態と認められる。

(四)  したがって、原告商品二は、その基本的形態及びポストカバー頭部の具体的形態は同種商品が通常有する形態であるが、その具体的形態、特に留め具の形態が同種商品が通常有する形態であるとはいえないから、原告商品二の全体の形態も同種商品が通常有する形態とは認められず、不正競争防止法二条一項三号本文が適用されるものである。原告商品二が単純に同種商品が通常有する形態であるという被告主張には理由がない。

もっとも、原告商品二の基本的形態及びポストカバー頭部の具体的形態が同種商品が通常有する形態に過ぎないという点を、争点2についての判断においては斟酌すべきであることは原告商品一の場合と同様である。

二  争点2について

1 不正競争防止法二条一項三号にいう「模倣」とは、既に存在する他人の商品の形態をまねてこれと同一または実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいい、行為の客体の面においては、他人の商品と作り出された商品を対比して観察した場合に形態が同一であるか実質的に同一と言える程に酷似していることを要し、行為者の認識の面においては、当該他人の商品形態を知り、これと形態が同一であるか、実質的に同一と言える程に酷似した形態の商品と客観的に評価される形態の商品を作り出すことを認識していることを要するものである。

不正競争防止法二条一項三号が、模倣商品の販売を不正競争行為とした趣旨は、前記のとおり模倣による競争行為を端的に不正競争行為としたものであって、需要者、消費者に生じる混同を問題とする趣旨ではないから、類似性の判断を混同が生じるか否かによって決すべきとする原告の主張は失当である。

2(一)  被告商品一の形態は、別紙被告商品目録一の1及び2のとおりであるが、これをより具体的に表現すると次のとおりである(検甲三、検甲四)。

(1) 基本的形態は、一端により大径の頭部を有する細い軸部からなる本体と、使用時において右軸部と嵌合する留め具(キャッチ)とからなる。

(2) 本体は、円盤状の頭部と軸部からなるくぎ型の形状を有するもの(被告商品一(円盤型))と、球状の頭部と軸部からなる丸頭くぎ型の形状を有するもの(被告商品一(球型))があり、いずれの軸部も、頭部側から先端部にかけて細くなる長錐体で、その先端部は丸い鈍端である。軸の長さはいずれも約一五ミリメートルである。

(3) 留め具(キャッチ)の形状は、別紙被告商品目録一の図面を基準として、正面視した場合、左右対称の単純なビール樽型で、表面は平滑である。留め具の中心軸の位置には、本体の軸部を挿入嵌合する孔が貫通しており、孔は、本体の挿入口の方が裏側よりやや大きい。

(4) 色彩は、無色半透明である。

(二)  原告商品一と被告商品一の商品形態を対比して観察すると、基本的形態と色彩は共通しているが、被告商品一の留め具の形態は、正面視した場合左右対称の単純なビール樽型であり、しかも表面は平滑で原告商品一のような環状の突出部は設けられておらず、原告商品一の留め具とは、中心軸の位置に本体の軸部挿入用の貫通孔を有する樽類似の略円筒であるという点が共通するものの、実質的には同一であるというほどに類似しているとは認められない。

また、原告商品一の頭部の形態は平坦な円盤状であるから、被告商品一(球型)の本体の頭部が球状のものとは、頭部の形態は全く異なるものと認められる。

被告商品一と原告商品一が、その基本的形態を共通にし、また、被告商品一(円盤型)と原告商品一は頭部の具体的形態も類似しているが、それらはいずれも同種商品が通常有する形態に過ぎないから、それらの点が同一、あるいは類似であることを、被告商品一の形態が原告商品一の形態を模倣したものといえる程に実質的に同一であるか否かの判断にあたって考慮すべきではない。

以上のとおりであるから、色彩が共通であることを考慮しても、被告商品一の形態はいずれも、原告商品一の形態と実質的に同一であるとは認められない。

よって、その余の点について判断するまでもなく、被告商品一の形態はいずれも、原告商品一の形態を模倣したものとは認められない。

3(一)  被告商品二の形態は別紙被告商品目録二のとおりであるが、これをより具体的に表現すると次のとおりである(検甲五)。

(1) 基本的形態は、一端により大径の頭部を有する中空でピアス本体の針部が挿入される該針部より短い略円筒状のポストカバーと、使用時において右ポストカバー及びその先端開口部から突出するピアス本体の針部に嵌合する留め具(キャッチ)とからなる。

(2) ポストカバーは、円盤状の頭部と軸部を有するくぎ型の形状で、円盤状頭部の中心には軸部の孔が開口し、軸部は中空の筒状で、頭部側から先端部にかけて細くなる長錐体である。軸の長さは約5.5ミリメートルである。

(3) 留め具(キャッチ)の形状は、別紙被告商品目録二の図面を基準として、正面視した場合、左側が細く右側に向かって広がる全体にずんぐりした漏斗状ともいえる臼型であり、その表面は平滑である。留め具の中心軸の位置には、ポストカバーの軸部及びピアス本体の針部を挿入嵌合する孔が貫通しており、孔は、ポストカバー挿入口の方が裏側よりやや大きい。

(4) 色彩は、無色半透明である。

(二)  原告商品二と被告商品二の形態を対比して観察してみると、その基本的形態と色彩は共通しているが、被告商品二の留め具の形態は、表面が平滑であり、正面視した場合、左側が細く右側に向かって広がる全体にずんぐりした漏斗状ともいえる臼型であるのに対し、原告商品二の留め具は、全体に樽状の形態を基本としてその表面に三本の環状の突出部を設けており、実質的に同一であるというほどに類似しているとは到底認められない。

被告商品二と原告商品二が、その基本的形態を共通にし、またポストカバー頭部の具体的形態も共通であるが、それらはいずれも同種商品が通常有する形態に過ぎないから、それらの点が同一であることを被告商品二の形態が原告商品二の形態を模倣したものといえる程に実質的に同一であるか否かの判断にあたって考慮すべきではない。

以上のとおりであるから、色彩が共通であることを考慮しても、被告商品二の形態は、原告商品二の形態と実質的に同一であるとは認められない。

よって、その余の点について判断するまでもなく、被告商品二の形態は原告商品二の形態を模倣したものとは認められない。

三  以上によれば、原告らの本訴請求は、その余の点を判断するまでもなく、いずれも理由がない。

(裁判長裁判官西田美昭 裁判官髙部眞規子 裁判官森崎英二)

別紙謝罪広告目録 〈省略〉

別紙原告商品目録一

ピアス孔用保護具で添付図面のとおりの形態のもの

(1) 形態の説明

耳朶にあけられたピアス孔に通す本体(A図四図)とこれを耳朶の裏側から固定するための留め具(キャッチ)(B図五図)からなる、半透明の樹脂製ピアス孔用保護具であって、本体は、円盤状の頭部をもつくぎ型の形状を有し、本体軸部は、頭部から先端部にかけて太さの狭まる長錐体で、その先端部は鈍端で、留め具(キャッチ)は、中心部に本体を挿入するための孔が貫通した樽型の形状を有しており、、孔は、本体の挿入口の方が裏側よりやや大きくなっている。

別紙原告商品目録二

ピアス装着保護具で添付図面のとおりの形態のもの

(1) 形態の説明

ピアスを耳朶に装着するに際して、ピアスの金属軸(ポスト)部分をカバーするためのポストカバー(A図四図)とこれを耳朶の裏側から固定するための留め具(キャッチ)(B図五図)からなる、半透明の樹脂製ピアス装着用保護具であって、ポストカバーは、中心部にピアスの金属軸を挿入するための孔が貫通した円盤状の頭部をもつくぎ型の形状を有し、留め具(キャッチ)は、中心部にポストカバーを挿入するための孔が貫通した樽型の形状を有しており、孔は、ポストカバーの挿入口の方が、裏側よりやや大きくなっている。

別紙被告商品目録一の1

一 被告商品一(円盤型)

ピアス孔用保護具で添付図面のとおりの形態のもの

(1) 形態の説明

耳朶にあけられたピアス孔に通す本体(A図四図)とこれを耳朶の裏側から固定するための留め具(キャッチ)(B図五図)からなる、半透明の樹脂製ピアス孔用保護具であって、本体は、円盤状の頭部をもつくぎ型の形状を有し、本体軸部は、頭部から先端部にかけて太さの狭まる長錐体で、その先端部は鈍端で、留め具(キャッチ)は、中心部に本体を挿入するための孔が貫通した樽型の形状を有しており、孔は、本体の挿入口の方が裏側よりやや大きくなっている。

別紙被告商品目録一の2

一 被告商品一(球型)

ピアス孔用保護具で添付図面のとおりの形態のもの

(1) 形態の説明

耳朶にあけられたピアス孔に通す本体(A図四図)とこれを耳朶の裏側から固定するための留め具(キャッチ)(B図四図)からなる、半透明の樹脂製ピアス孔用保護具であって、本体は、球体の頭部をもつくぎ型の形状を有し、本体軸部は、頭部から先端部にかけて太さの狭まる長錐体で、その先端部は鈍端で、留め具(キャッチ)は、中心部に本体を挿入するための孔が貫通した樽型の形状を有しており、孔は、本体の挿入口の方が裏側よりやや大きくなっている。

別紙被告商品目録二

ピアス装着用保護具で添付図面のとおりの形態のもの

(1) 形態の説明

ピアスを耳朶に装着するに際して、ピアスの金属軸(ポスト)部分をカバーするためのポストカバー(A図四図)とこれを耳朶の裏側から固定するための留め具(キャッチ)(B図四図)からなる、半透明の樹脂製ピアス装着用保護具であって、ポストカバーは、中心部にピアスの金属軸を挿入するための孔が貫通した円盤状の頭部を持つくぎ型の形状を有し、ポストカバーの軸部は、頭部から先端部にかけて太さの狭まる長錐体筒状で、留め具(キャッチ)は、中心部にポストカバーを挿入するための孔が貫通した臼型の形状を有しており、孔は、ポストカバーの挿入口の方が、裏側よりやや大きくなっている。

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